- ● 「警告・禁忌等を含む使用上の注意」等については添付文書 ご参照ください。
- ● 紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
- ● 3D-SSP/Z-Graphによる画像解析は、「核医学画像解析ソフトウェア medi+FALCON」※を使用することで実施可能です。(※認証番号:301ADBZX00045000)
- ● 本コンテンツで使用している画像の提供元:兵庫県立姫路循環器病センター
このページ内のコンテンツは症例提供いただいた近畿大学医学部 放射線医学教室 放射線診断学部門 教授 石井一成先生による音声と動画の解説がございます。本ページ内の「」をクリックすると音声が、画像内の「▶」をクリックすると動画が再生されます。
画像読影の実際 血管性認知症(VaD)
60歳台後半 男性 MMSE 24点
症例の背景
- 主 訴
- 問いかけに対する反応が乏しい
- 既 往 歴
- 3年前 脳梗塞
2年前 2型糖尿病 末梢神経障害
- 現 病 歴
- 発達障害のため就労支援施設で入所生活を送っていた。2ヵ月前から右腕の挙上が困難になっている。同
時期から話しかけられても返答せず、活動性に乏しくなり呆然としていることが増えている。
- 神経学的所見
- 上肢バレー徴候陽性であり左上肢が下垂する。上肢の回旋運動では左側拙劣、両側上肢に軽度筋固縮を認める。
MRI
VaD疑い例の読影のポイント
脳血管性病変(梗塞、出血)の有無を確認します。
1) 多発性の梗塞がないか
2) 戦略的部位に梗塞がないか
3) 白質の虚血性変化、多発ラクナ梗塞がないか
読影所見 (脳血管性病変部位:)
海馬萎縮はみられず、左被殻の大半を占める梗塞がみられた。右被殻、両側深部白質内に多発性ラクナ梗塞がみられた。
海馬萎縮はみられず、左被殻の大半を占める梗塞がみられた。右被殻、両側深部白質内に多発性ラクナ梗塞がみられた。
123I-IMP SPECT画像(横断像)
VaD疑い例の読影のポイント
脳血管性病変がある部位で血流低下がみられ、その周囲にも低下が広がっていることが多いです。梗塞の部位にもよりますが、前頭葉優位に低下がみられる症例が多いです。
脳血管性病変がある部位で血流低下がみられ、その周囲にも低下が広がっていることが多いです。梗塞の部位にもよりますが、前頭葉優位に低下がみられる症例が多いです。
読影所見 (低下部位:ー)
左線条体の血流低下が強い。左優位の両側前頭葉と前部帯状回の低下がみられた。左側頭葉にも低下を認めた。後部帯状回一部でも低下がみられた。
3D-SSP/Z-score画像
3D-SSP/Z-score画像評価のポイント
血流分布画像上の低下部位とZ-score画像の低下部位が一致している事を確認し、血流低下パターンに疾患特異性があるか確認します。
血流分布画像上の低下部位とZ-score画像の低下部位が一致している事を確認し、血流低下パターンに疾患特異性があるか確認します。
読影所見 (低下部位:)
左優位に両側前頭葉の血流低下がみられた。後部帯状回の前方で低下がみられた。内側面では左線条体の梗塞による血流低下もみられた。
Z-Graph 解析結果
両側後部帯状回の関心領域では設定された閾値を超えた血流低下がみられたが、頭頂葉や楔前部などの低下はなくAD様の血流低下は呈していない。
読影(診断)結果についての解説
海馬や頭頂葉の萎縮はみられず、被殻梗塞の他にもラクナ梗塞が散在していた。脳血流SPECTではMRIで確認された病変部位に対応した左線条体の低下と左優位の前頭葉の低下がみられた。3D-SSPでは後部帯状回の一部に低下所見が示されていたが、本例は海馬や頭頂葉の萎縮を認めず、頭頂葉の血流も保持されており、ADの影響は無いと考えた。