認知症 脳血流SPECT読影のポイント
  • ● 「警告・禁忌等を含む使用上の注意」等については添付文書 ご参照ください。
  • ● 紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
  • ● 3D-SSP/Z-Graphによる画像解析は、「核医学画像解析ソフトウェア medi+FALCON」を使用することで実施可能です。(※認証番号:301ADBZX00045000)
  • ● 本コンテンツで使用している画像の提供元:兵庫県立姫路循環器病センター

 

このページ内のコンテンツは症例提供いただいた近畿大学医学部 放射線医学教室 放射線診断学部門 教授 石井一成先生による音声と動画の解説がございます。本ページ内の「音声再生」をクリックすると音声が、画像内の「」をクリックすると動画が再生されます。

画像読影の実際 アルツハイマー型認知症(AD) 典型SPECT画像所見例

80歳台後半女性 MMSE 20点

提示症例について 音声再生ボタン

症例の背景

主     訴
物忘れ
既  往  歴
35歳時 虫垂炎手術、便秘症
現  病  歴
3年前より記憶障害あり、1年前より調理をしなくなった。
神経学的所見
明らかな筋固縮・寡動・振戦を認めない。病的反射なし。運動機能障害なし。
MRI

 

AD疑い例の読影のポイント
海馬、海馬傍回、頭頂連合野、側頭連合野の萎縮、側脳室の拡大や脳溝の拡大を確認します。

 

読影所見 (萎縮部位:赤丸)
海馬・海馬傍回の萎縮は認めないが、両側頭頂葉に萎縮を認めた。
123I-IMP SPECT画像(横断像)

 

AD疑い例の読影のポイント
頭頂連合野、側頭連合野、後部帯状回、楔前部の血流低下の有無を確認します。進行例ではさらに前頭連合野に低下を認めます。線条体・視床、一次感覚運動野、後頭葉、脳幹、小脳は保持されます。ただし高齢の場合、ADでも後頭葉に軽度低下を認める場合もあります。

 

読影所見 (低下部位:)
左優位の両側頭頂連合野の軽度血流低下を認めた。両側後部帯状回・楔前部の低下も認めた。

3D-SSP/Z-score画像

 

3D-SSP/Z-score画像評価のポイント
血流分布画像上の低下部位とZ-score画像の低下部位が一致している事を確認し、血流低下パターンに疾患特異性があるか確認します。

 

読影所見 (低下部位:赤丸矢印)
横断像の所見と同様、左優位の両側頭頂連合野と両側後部帯状回・楔前部の低下を認めた。

Z-Graph 解析結果

 

両側頭頂葉、楔前部、後部帯状回において閾値を超えている。ADに特徴的な部位の血流低下がみられた。なお頭頂葉については関心領域と低下部位の位置関係から、右優位の低下となっている。

読影(診断)結果についての解説

 

MRIでは海馬の萎縮は認めないが、両側の頭頂葉に強い萎縮を認めた。高齢発症としては非典型であるがADとして矛盾はしない。
脳血流SPECTでは比較的典型的なAD血流低下パターンがみられたので高い確信度をもってADの診断が示唆された。