- ● 「警告・禁忌等を含む使用上の注意」等については添付文書 ご参照ください。
- ● 紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
- ● 3D-SSP/Z-Graphによる画像解析は、「核医学画像解析ソフトウェア medi+FALCON」※を使用することで実施可能です。(※認証番号:301ADBZX00045000)
- ● 本コンテンツで使用している画像の提供元:兵庫県立姫路循環器病センター
このページ内のコンテンツは症例提供いただいた近畿大学医学部 放射線医学教室 放射線診断学部門 教授 石井一成先生による音声と動画の解説がございます。本ページ内の「」をクリックすると音声が、画像内の「▶」をクリックすると動画が再生されます。
画像読影の実際 レビー小体型認知症(DLB)
症例の背景
- 主 訴
- 動作緩慢
- 既 往 歴
- 3年前 冠動脈バイパス術 糖尿病
1年前 白内障手術 腰椎圧迫骨折
- 現 病 歴
- 1年前から動作緩慢。農業用トラクター運転時の脱輪が増えた。睡眠薬服用し就寝中、夜間に叫び声を上げ 暴れることがしばしばあった。腰椎圧迫骨折で他院入院中にせん妄状態となり、「猫がいる」と訴えるなど幻視を認めた。退院後も幻視の訴えは続いている。
- 神経学的所見
- 表情は乏しく仮面様顔貌、両側上肢に鉛管様固縮、寡動、姿勢は前屈位、継ぎ足歩行は不安定、マイヤーソン徴候陽性。
DLB疑い例の読影のポイント
海馬・海馬傍回の萎縮、大脳皮質の萎縮を確認します。
海馬萎縮はADよりも軽度とされますが、萎縮が強い症例もしばしばみられます。認知機能の障害が同程度のADと比較すると海馬萎縮は軽度です。
ごく軽度の海馬萎縮がみられた。有意な脳室拡大はみられないが、シルビウス裂の開大と前頭葉の軽度萎縮がみられた。
頭頂葉、側頭葉、後部帯状回、楔前部、後頭葉の血流低下の有無を確認します。なお、後頭葉の低下を認めない症例もあり、同部位の低下が無い事でDLBを否定することはできません。認知機能の障害が同程度のADと比較すると大脳皮質の低下の程度は強い場合があります。進行例では前頭葉にも低下を認める場合もあります。視床・線条体、一次感覚運動野、小脳の血流は保持されます。
読影所見 (低下部位:ー 保持部位:)
大脳血流は後方優位に低下がみられ、特に両側頭頂側頭連合野、後頭葉、後部帯状回・楔前部で強い低下がみられた。前頭連合野も軽度低下していた。Cingulate Island Signがみられた。
血流分布画像上の低下部位とZ-score画像の低下部位が一致している事を確認し、血流低下パターンに疾患特異性があるか確認します。
読影所見 (低下部位: 保持部位:)
横断像でみられた所見に加えて脳表血流画像で一次感覚運動野が保持されているのがよくわかる。中部帯状回の血流が保持され、Cingulate Island Sign がみられた。
左頭頂葉以外、右頭頂葉、両側楔前部、後部帯状回、後頭葉内側、後頭葉外側に設定した関心領域では設定された閾値を超えた低下がみられた。DLBに特徴的な部位の低下がみられた。