研究開発方針


核医学の価値最大化を探求し医療課題の解決に挑戦する

アンメット・メディカル・ニーズ(未だ満たされていない医療上のニーズ)を満たす医薬品の創製をはじめ、患者さんならびに医療関係者の方々のお役にたてる、新薬の研究開発に取り組んでいます。
放射性同位元素(RI)や放射線に関わる専門技術と経験を生かして、放射性診断薬(PET、SPECT)・放射性治療薬および関連する医療機器の研究開発を行っています。がんをはじめとして認知症や心不全など、未だよくわかっていない病態の解明や最適な治療法選択のため、早期診断を可能にする技術の開発と患者さんにわかりやすい画像情報の提供をめざします。

これに加えて、RIの特性を活かし同一の基本構造を診断用と治療用の薬剤に応用する“Theranostics”(セラノスティクス)の実現に向けた研究にも着手しています。

製造拠点と出荷製品全国マップ

SPECT診断薬は千葉と兵庫の2つの工場から、半減期がより短く約2時間というPET診断薬は全国11か所のPETラボから出荷されています。

    これらの製造拠点では、安全安定操業に日夜取り組むとともに、災害や悪天候などによる輸送網への影響や、製造トラブルなどに際しても、医療機関や患者さんへの影響を回避すべく相互バックアップ体制を構築しています。
    また、PETラボで製造するPET診断薬は供給できる範囲が限られるため、安定供給のさらなる強化に努めています。

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    安全・確実な生産体制

    当社の製造拠点は、高品質の放射性医薬品を安全、確実に生産し、医療機関にお届けできるよう、最新のGMP(Good Manufacturing Practice: 医薬品の製造管理および品質管理に関する基準)に適合した製造環境を整えています。

    主にSPECT診断薬の製造を担う千葉工場(千葉県袖ケ浦市)と兵庫工場(兵庫県三田市)に加えて、PET診断薬事業への進出に伴い、全国にPETラボを開設しました。各拠点で働くスタッフは医薬品製造のためのクリーンな環境の維持向上や、RI取扱い施設として徹底した環境管理・安全管理を常に意識しつつ、それぞれの担当業務におけるプロとして優れた品質の確保のため、昼夜を問わず総力をあげて取り組んでいます。

    診断分野

    SPECT/PET診断薬

    当社の柱である診断薬事業では、長年にわたり業界をリードするSPECT*1診断薬と、日本で初めてデリバリーを実現したPET*2診断薬を扱っています。これら放射性医薬品を使った核医学検査は、臓器の働き具合を可視化することができ、がん、脳血管疾患、心疾患などの早期発見・治療に貢献します。 *1:Single Photon Emission Computed Tomography(単一光子放射断層撮影法)
    *2:Positron Emission Tomography(陽電子放射断層撮影法)

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    製品の適正なご使用のために

    MR(医薬情報担当者)の活動

    MRは、医薬品の適正な使用と普及を目的とし、全国の医療機関を訪問して、正確かつ迅速な医薬品情報の提供を行っています。また、実際に医薬品が使用された後の有用性や安全性、副作用といった情報を収集しています。
    そのため当社ではMRに対し定期的に研修を行い、放射性医薬品の専門知識だけではなく、医学全般における幅広い知識の習得に努めています。また、企業を代表して医薬情報提供活動を遂行するという自覚を持ち、医療用医薬品プロモーションコード、公正競争規約を遵守した公正な活動を行っています。

    研究倫理指針


    ヒト試料・遺伝子利用研究倫理審査委員会

    医薬品または医療機器の研究開発では、貴重な研究資源であるヒト試料や遺伝子情報を扱う可能性があります。創薬研究所は、倫理および個人情報保護の観点からヒト試料・遺伝子利用研究倫理審査委員会を設置して、研究の妥当性を確認しています。

    信頼性の基準の順守

    新製品の申請書に添付する申請資料は、信頼性基準下で実施された試験データに基づき作成される必要があります。創薬研究所では、信頼性基準委員会を設置し、試験の正確性、網羅性および保存性の確保に努めています。

    技術移転ガイドライン

    新製品は、それらを開発した研究開発部門から商業製造を担う生産部門へ、製法および品質技術が順次移管されます。当社では、新製品の製法と品質の一貫性を確保するため、技術移転ガイドラインを制定しています。