
- 掲載されている薬剤の使用にあたっては、各製剤の最新の電子添文を参照ください。
- 紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
- GI-BONEによる画像解析は核医学画像解析ソフトウェア medi+FALCON*を使用することで実施可能です。
(*認証番号:301ADBZX00045000) - 画像提供:兵庫医科大学医学部 歯科口腔外科学講座 大和 皓介 先生
GI-BONEによる治療評価が有用であったMRONJに対する外科治療の実際
監修
大和 皓介 先生
兵庫医科大学医学部 歯科口腔外科学講座
野口 一馬 先生
兵庫医科大学医学部 歯科口腔外科学講座 教授
岸本 裕充 先生
兵庫医科大学医学部 歯科口腔外科学講座 主任教授
「薬剤関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023」では、早期のMRONJ病変に対する外科介入が言及されている。
MRONJが下顎に発症した場合、下顎神経の保存の可否は患者のQOLに関わる。
本症例は知覚鈍麻をすでに発症しており、下顎神経周囲に炎症が波及していることから、神経保存の可否・工夫を術前に検討し、患者と情報共有することが重要であった。
MRONJが下顎に発症した場合、下顎神経の保存の可否は患者のQOLに関わる。
本症例は知覚鈍麻をすでに発症しており、下顎神経周囲に炎症が波及していることから、神経保存の可否・工夫を術前に検討し、患者と情報共有することが重要であった。
症例背景(薬剤関連顎骨壊死:MRONJ Stage2)>>
●検査目的:MRONJの精査加療依頼にて当科紹介受診
●症例:70代女性
既往歴
骨粗鬆症、関節リウマチ、甲状腺がん
ARA治療歴
- X年4月: イバンドロン酸ナトリウム 100mg/month 内服投与開始
- X+7年4月: アレンドロン酸ナトリウム 35mg/week 内服投与開始
口腔外科初診
紹介元にて撮影したパノラマX線写真および歯科用CT画像にて、左側下顎に腐骨様所見を認め、精査加療依頼にて当科紹介受診。
- X+11年2月: 自覚症状は左側下顎・オトガイ部の知覚鈍麻のみで疼痛はなかった。


●左下臼歯部MRONJ Stage2と診断した。
●知覚鈍麻を認め、病変が下顎神経に近接していることから骨SPECT/CTによる画像検査が必要であった。
診断・治療計画
・右下Br部 抜歯
・左下4,5,6 画像検査(CT、骨SPECT/CT)を行う。
腐骨分離所見があれば外科的に除去。
左下4,5についても抜歯。
外科的処置
・全身麻酔下で左下4,5抜歯および腐骨除去術を施行。
(完全に分離している腐骨周囲には不良肉芽を認め、下顎管も肉芽と癒着していた。)
・下顎管は保存したうえで、腐骨を除去。
・頬側皮質骨についても削除をすすめ、骨面からの出血を確認した時点で終了とした。
骨SPECT/CTを用いた術前評価について>>




●我々の先行研究からGI‐BONEはMRONJ病変を明確に描出することを報告している。
●骨SPECT画像のCoronal像により切除範囲の設定、特に下顎神経周囲の病変の描出に大変有用で、病変の完全除去と神経保存の両方が可能であった。
外科的処置前後:CTおよび左下3DCT画像>>


●外科的処置前のCTにて、左下4,5根尖を含む骨溶解像とその周囲骨の骨硬化を認めた。
●3D構築では外側皮質骨も溶解していることが分かる。
●感染皮質骨である頬側皮質骨と明らかに分離している腐骨の除去を行った。
●舌側皮質骨は感染が明らかでない部分は保存した。
●処置後は、3D構築でも頬側皮質骨はオトガイ孔を認めるのみ。腐骨の残存は認めなかった。
外科的処置前後:GI-BONE解析結果>>



GI-BONE解析においては、SUVmaxだけでなく、volume指標も加味したTBU(MBV×SUVmean)を用いることで、治療効果の判定と病勢評価が可能であった。SUVにより治療前後のスケールを合わせた評価ができることはメリットである。
まとめ
●MRONJにおける外科治療において、GI-BONEを活用することで3次元的に病変の広がりを把握することが可能となり、確実な外科手術の施行に繋がった。また、その定量評価によって治療前後の評価に有用であった。
●MRONJ Stage2で下顎神経周囲まで波及し、知覚鈍麻を認めた患者に対し、GI-BONEを用いて病変を術前に描出し、下顎神経を保存できた上に、再発なくMRONJを治癒することができた。
●加えて、術後の顎義歯を装着する上で、顎堤の高さを保存すること、および粘膜維持が可能となり、鉤歯の保護を図った。