クリアボーン<sup>®</sup>注投与2時間後撮像 
        ~3時間後撮像との視覚的評価について~

 

  • 掲載されている薬剤の使用にあたっては、各製剤の最新の電子添文を参照ください。
  • 紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
  • 本コンテンツで使用している症例提供元:国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 放射線診断科 伊藤 公輝 先生

 

クリアボーン®注投与2時間後撮像 ~3時間後撮像との視覚的評価について~

監修

伊藤 公輝 先生
国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 放射線診断科 医長

骨シンチグラフィは主要な核医学検査であり、クリアボーン®注投与2時間後撮像は、検査スループットの改善、待機時間短縮による患者負担の軽減や感染症の二次感染リスクの低減が図れる可能性があるなどメリットが多いと考えられる。
当院では前立腺癌を対象に、クリアボーン®注投与2時間後撮像を実施している。クリアボーン®注投与2時間後および3時間後撮像の骨シンチグラムについて視覚的評価を行った、転移性前立腺癌の2症例を紹介する。

症例 1
 
80代男性 転移性ホルモン感受性前立腺癌(mHSPC)

 

腰痛にて近医で単純X線撮影、MRIを行ったところ骨転移が見られた。当院に紹介となりPSAの上昇(18.56ng/mL)とALPの上昇(637U/L)がみられ、前立腺癌の転移が疑われた。前立腺生検が行われ(Gleason score 5+4)、造影 CT、造影MRI、クリアボーン®注を用いた骨シンチグラフィにて転移性ホルモン感受性前立腺癌の診断に至り、抗アンドロゲン剤(ビカルタミド)およびLH-RHアゴニスト(リュープロレリン酢酸塩)の投与が開始された。

before
after

 

Point 1

造影CTにて前立腺腫瘍のほか多発肺転移、多発骨転移、右水腎症が検出された。治療前の全脊椎MRIにて 多発する骨転移が検出された。クリアボーン®注を用いた骨シンチグラフィでは胸椎や腰椎などに多発骨転移、並びに右水腎症が検出された。2時間後撮像によって得られた画像は、従来の報告同様にB/G比は良好1)で、病変を指摘するのに十分な画質が担保されていた。

1)林 美規、他:RADIOISOTOPES30:38-39,1981

 

 

症例 2
 
80代男性 転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)

 

X-17年に前立腺生検にて前立腺癌と診断(Gleason score 5+4)され、放射線治療後にアンドロゲン除去療法にて 経過観察されていた。X-2年よりPSAが再上昇し、骨転移が検出された。その後、MAB療法*が行われた。X年に再度 PSAの上昇と骨転移、肝転移が認められmCRPCの診断に至り、アビラテロン酢酸エステルの投与が開始された。 腎機能が低下(eGFR 40mL/min/1.73m2、クレアチニン 1.3mg/dL)しており、造影CTは施行できなかった。

*MAB療法(抗アンドロゲン薬+LH-RHアゴニスト併用療法)

before
after

 

Point 2

クリアボーン®注を用いた骨シンチグラフィでは胸椎や腰椎などに多発骨転移が認められ、アビラテロン 酢酸エステルの投与が開始された。投与2時間後と投与3時間後の骨シンチグラフィでは、同様に骨転移病変が検出された。軽度腎機能障害を伴う症例だが、投与2時間後と投与3時間後の画像では視覚的評価において病変の検出に差は認められない。

 

 

クリアボーン®注投与2時間後撮像 まとめ

腎機能の低下したmHSPCおよびmCRPCにおいて、クリアボーン®注投与2時間後および3時間後撮像の骨シンチグラムの視覚的評価を行った。撮像は同日に施行した。
クリアボーン®注投与2時間後撮像は、軟部組織とのコントラストが良好で読影に十分な画像が得られた。 視覚的評価において、骨転移病変検出に差は認められず、待機時間の違いによる画質の影響を受けなかった。