PET/CT
PETでは臓器の生理的機能情報を得られますが形態情報が少ないため、異常集積の部位同定しにくいという弱点があります。またCTでは形態情報を持つものの、病変部の活動性の有無についての判断が困難であるという弱点があります。
それぞれの不得意な部分を補い精度を高めるために、これまでPETとCTを組み合わせて検査して、画像を重ね合わせて診断してきました。
FDG-PET像(中段)の縦隔リンパ節、FDG-PET像(下段)の肝門部リンパ節のCT像での対応病変の指摘は、 融合画像により容易に行えます。
PET/CTはPET装置とCT装置が一体になったもので、一度の撮影でPETとCTの2つの画像が得られます。下記の利点より、現在PET/CTを導入する施設が増加しており、PET/CTが主流になってきています。
1. PET装置よりも短時間で画像が得られる。
体内の深いところから放出された放射線は人体内部で吸収を受ける確率が高くなり、体外から検出しにくくなります。一方、体の表面近くに分布した薬剤からの放射線はあまり吸収を受けないために検出されやすくなります。そのため、体内でのガンマ線吸収の不均一性を補正する必要があります。これを吸収補正と言います。この吸収補正によって、PETの最大の特長であります、定量性が維持されることになります。
補正データを得るために、PET装置の場合は、外部から線源を人体に照射するため20分程度かかります。PET/CT装置の場合は、CT撮像により吸収補正が行われるため数十秒ですみます。これにより大幅に撮影時間が短縮されました。
2. 精度の高いfusion画像が得られる。
PETとCTを別々の検査として行うと、体位のずれや撮像条件の違いからPETから得られる機能画像とCTから得られる形態情報の一致の精度に問題がありました。
PET/CTでは、PETとCTを同一検査で撮影するため、同一体位で同じ撮像条件のもとでの撮影となるため、精度の高いfusion画像(融合画像)が得られ、明確に病変部位や範囲が診断できます。
CTで撮影を行った後、検査台が奥に動いて、PETの撮影を行います。
PET/CT装置内部の模式図:日本メジフィジックス株式会社作成