[腫瘍集積機序]1)
クエン酸ガリウム(67Ga)の腫瘍への集積機序についてはまだ十分に解明されていませんが、集積過程については次のように考えられています。
・血中に投与されたクエン酸ガリウム(67Ga)は血清中のトランスフェリンと結合し、トランスフェリン-67Ga複合体となり、腫瘍細胞のトランスフェリンレセプターに作用し、細胞内に取り込まれる。
・細胞内では、ライソゾームをはじめ細胞質に分布するが、この一部は67Ga-フェリチンとして、また大部分は、microvesiclesや粗面小胞体に運ばれ、そこで腫瘍細胞の機能に必須な高分子蛋白と結合する。
[炎症集積機序]1)
炎症部位への集積機序についても十分に解明されていませんが、いくつかの機構が考えられています。
・血流増加による集積2)
Itoらは細小動脈の炎症による拡大、毛細管の透過性亢進によりイオン形で細胞に入るのであろうとした。
・白血球による取込み3)
Tsanは、ヒトの多型核白血球による67Gaの取込みがリンパ球よりも高く、多型核白血球の膜表面に結合していると考えられるとした。
・ラクトフェリンとの結合4)
Hofferらは、67Gaが好中球に多く含まれるラクトフェリンと結合し好中球が炎症部位に集積するとした。
・細菌による直接取込み5)
Menonらは、ブドウ球菌やサルモネラ菌など、いくつかの一般的な微生物によって67Gaが取り込まれることを示した。