あなたの心臓は大丈夫ですか?
- 【監修】水島協同病院 腎臓内科・透析科
- 杉山 信義 先生
透析という言葉からは「腎臓の病気」を強くイメージするのではないでしょうか?
しかし、血液透析を受けられている患者さまのうち、心不全、心筋梗塞、脳血管障害などの心臓・血管疾患でお亡くなりになる方は、全体の40%以上にものぼります。血液透析を受けられている方は、より良い生活を送るため、心臓にも注意を向けてみてください。
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血液透析を受けられている患者さまでは、「冠動脈疾患」を患っている方が多いことが知られています。海外の研究では、45歳以上で糖尿病を患っている透析患者さまの85%が冠動脈疾患を発症しているとの報告があります。また日本の研究では、透析患者さまが冠動脈疾患を患っている割合は60~70%と報告されています。また、いずれの研究でも、自覚症状のない「無症候性心筋虚血」が多いことが特徴です。特に糖尿病を患っている方やご高齢の方は「症状がないから大丈夫」とは思わず、症状がなくても早めに心臓の検査をすることが大切です。
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心臓のまわりを取り囲み、酸素や栄養を送る役目をする血管が冠動脈です。この冠動脈が動脈硬化によって狭くなるのが冠動脈疾患です。冠動脈疾患では、心臓への血液の流れが少なくなり、胸が締め付けられるような発作が起こります(狭心症)。さらに病気が進んで冠動脈がふさがってしまうと心筋梗塞になります。また、高齢者や糖尿病を患っている場合、痛みを全く感じないこともあります。こうした状態を「無症候性心筋虚血」とよびます。
冠動脈疾患は、生死にかかわる危険な病気です。症状がなくても早めに検査を受けることが大切です。
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心臓病の検査は、問診・聴診から始まり、心臓の動きに異常がないかどうかを心電図検査で調べます。
心電図検査で異常が疑われた場合には、さらに心臓の機能や状態を映像化して調べる心臓核医学検査や心エコーなどの画像診断がおこなわれます。
画像診断の結果、心臓病の可能性が高いと判断された場合には、足の付け根、腕や手首の血管から心臓へ細い管(カテーテル)を入れ、どの部分が狭くなっているのかを調べる冠動脈造影がおこなわれます。
以上の検査結果から、お薬で治療するのか、カテーテル治療をした方が良いのかを判断します。
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心臓核医学検査(心筋シンチグラフィ)は、心臓の状態を調べ、狭心症や心筋梗塞、心筋症などの心臓病の有無やその程度を診断する検査です。血管から細い管を入れておこなうカテ―テル検査より、負担が少なく安全に検査できるという特徴があります。
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