特別対談 これからの核医学と日本メジフィジックスへの期待 時代とともに医療現場が直面する課題も変化する中で、より早い診断がその後の治療効果に貢献すると考えられています。患者さんへの身体的な負担が少ない検査とされる核医学検査は、病気の根源とされる生体内の分子により臓器が受ける作用を画像化し、治療の方針を立てるにあたり重要な情報を提供します。さらに心理学や教育学分野においても、核医学を活用して脳の機能の発達に関する研究が行われるなど新たな可能性も示されています。また、東日本大震災以来、放射線のリスクへの社会的な関心が高まる中で、医療における放射線利用の必要性やメリットについて理解を得ることも重要です。製薬企業として安全対策を万全に講じるととともに、大規模災害下での安定供給の責務を果たすための体制強化が必要です。最後に、核医学に関係するすべての分野が一体となって、特定の疾患対策など共通の課題の解決に取り組むことにより、さらなるブレイクスル―が期待されます。 東北大学医学系研究科修了。医学博士。東北大学サイクロトロンRIセンター、秋田県立脳血管研究センターを経て、2002年から現職。主な研究領域はPETを用いた脳循環代謝及び脳機能の研究と、PET-MR装置の開発 特定の物質(代謝などで化学変化する場合を含む)を追跡するために使われる微量添加物質をいい、放射性同位元素などが用いられる。 専用の放射性医薬品を投与して脳の血流状態を評価する検査。脳血管障害や認知症診断にも用いられる。 生体内に存在する分子で、糖質、たんぱく質、核酸などを指す。 生物が生きた状態のまま、ダメージを与えることなく、生体内のある特定分子の分布を画像により可視化する技術のことで、PET(陽電子放射断層撮影)やSPECT(単一光子放射断層撮影法)、MRI(核磁気共鳴画像法)などの手法がある。 放射線を出す同位元素のことで、ラジオアイソトープ(RI)とも呼ばれる。 免疫反応により作られる抗体を利用した医薬品。特定のタンパク質などの分子(抗原)を認識して結合することによって、薬効を発揮する。 陽子と中性子の数により決定される原子核の種類。 中枢神経系に存在する神経伝達物質であり、運動調節・認知機能・ホルモン調節・感情・意欲・学習などに関わる。ドパミンは脳内の線条体と呼ばれる部位において多く認められる。 ブドウ糖に類似した化合物に放射性同位元素である「フッ素-18」を標識(合成)したFDG(フルデオキシグルコース(18F))と呼ばれる薬剤を用いたPET検査。脳機能や腫瘍の診断に用いられる。 人工多能性幹細胞(じんこうたのうせいかんさいぼう、英:induced pluripotent stem cell)の頭文字をとってiPS細胞という。体細胞へ数種類の遺伝子を導入することにより、ES細胞(胚性幹細胞)のように非常に多くの細胞に分化できる分化万能性(pluripotency)と、分裂増殖を経てもそれを維持できる自己複製能を持ち、再生医療への応用が期待されている。 一般に素粒子、原子、分子、イオンなどの量が、時間とともに減少するとき、その量がはじめの二分の一になるのに要する時間。特に放射性核種の崩壊の速さや素粒子の寿命を表すのに用いられる。 Positron Emission Tomography(陽電子放射断層撮影)の略で、陽電子(ポジトロン)を放出するタイプの放射性同位元素を使った放射性医薬品を患者さんの体内に投与し、薬が病気の患部に集まる様子を体外から撮影することにより、病気の状態を診断する検査法。
対談の概要
対談者紹介(2013年2月時点)
大阪大学大学院医学系研究科
放射線統合医学講座(核医学)教授
畑澤 順先生日本メジフィジックス株式会社 社長
竹内 豊用語解説
トレーサー
脳血流SPECT検査
SPECTとは、Single Photon Emission Computed Tomography(単一光子放射断層撮影法)の略で、ガンマ線を放出するタイプの放射性医薬品を患者さんに投与し、病気の状態を診断する検査法。生体内分子
分子イメージング
放射性同位元素
抗体医薬
核種
ドパミン
FDG-PET
iPS細胞
半減期
PET検査
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